古くならずに深くなる〜郷愁を漂わせる洋館へ想いと 愛着のあるオウチStoryをお伺いしました。

 

リビングルーム

多くの森や林が残る札幌市厚別区。広大な森に面し、窓から移りゆく四季を楽しむことができる極上のロケーションに、羽田様のお宅は建っています。庭が森につながっているような立地の良さを活かす家づくりというのが、オーナーの羽田慎哉さん・郁子さんご夫妻が9年間住んだ自宅を建て直される際のテーマでした。 家のデザインモチーフとなったのは、郁子さんが以前から大好きだったという、札幌に残る古い洋館たち。何度も足を運んで、細部までじっくり研究されたそうです。 「外壁のイメージは旧小熊邸、破風の色は旧永山邸、といったように、具体的に真似た箇所がたくさんあるんですよ」と慎哉さん。新しい家なのに、どこか懐かしい。まるでずっと前からそこにあったかのように感じるのは、郁子さんの古き良きものを愛するポリシーが、隅々まで浸透しているから。 「出来上がりは予想以上。現代の素材を使いながら、古い洋館のイメージがちゃんと再現されているところが、とても気に入っています」。郁子さんも完成度の高さに満足していると話します。

リビングルーム

室内の壁にはスタッコというイタリア漆喰を使用した。夜には照明の光が塗りっぱなしの壁の質感を浮かび上がらせる。「夜、リビングの窓から見る月や星が、とてもきれいなんです。本当はステンドグラスをはめる予定でしたが、しばらくはこのままにしておきます」と郁子さん。

できるだけ自然光を取り込み、景観を楽しむために、リビングは2階に配置しました。重厚間のある木の梁がポイントになり、ざらりとした漆喰の壁の質感も生きて、まさに趣は「年月を重ねた洋館」。その上、窓は大きく、テラスも広く、目の前に広がる森の息吹を感じられるように工夫もしています。また、正面の大きな窓際、この家の一等席には、大切な家族である犬たちのためのスペースも設けました。「この家は愛犬と妻のためにつくったようなものかな」と慎哉さんは笑います。

ステンドグラス
ステンドグラス
アトリエ

ステンドグラスをいつでも楽しめるようにと、2階には郁子さんのアトリエを設けた。

家づくりのテーマはもうひとつ。それは郁子さんの趣味であるステンドグラスを随所に活かすことでした。郁子さんのステンドグラスの腕前はプロ並み。照明の類いから間仕切りとなるスクリーン、さらに窓にはめる大型の作品まで、シックなステンドグラスと古い洋館のイメージがぴたりと重なり、まさに狙い通りの仕上がりとなりました。 「家中に色々な発見がある。時間や空間によってまったく表情が違います」と慎哉さん。郁子さんも「昼は森の眺め、夜は星空。一日中飽きることがありません」とこの家の魅力を語ります。 森の色や匂い、鳥のさえずり、木々のざわめき・・・。四季折々の楽しさを感じ、自然と共存する暮らし。 森の息づかいを間近に感じる羽田邸は、ノスタルジックな安らぎに満ちています。

アンティークがさりげなく置かれたコーナー。こうした家具やインテリアも、この家にしっくりと馴染んでいる。

ダイニング

2階の窓からは、厚別の森が目の前に広がる。暖炉のあるダイニング部分からテラスに出ることができる。

外観

 

     〜施主の羽田様からHOPにいただいたお手紙をご紹介します〜

ある建築雑誌に掲載された施工例がヒントになり、築20数年になる自宅の建替えを決意した。建替えにあたっての要望を箇条書きにし、家の間取りも自分なりにプランした。 このプランを具現化するために託そうと考えた業者は1社だけあった。 HOPしか思い浮かばなかった。 実は、私には前科があった。2年ほど前に、自宅の建替えプランをHOPに依頼したことがあったが、数ヶ月悩んだ末にプラン段階で断った経緯がある。 前回の担当者の名刺を頼りにHOPに電話した。ブラックリストに載っているのではと訊ねると、担当者は電話口で楽しそうに笑った。担当者も気に掛けていてくれたようだ。翌日、HOPを訪れ、家に対する思いを語った。物腰の柔らかい設計士は黙って聞いていたが、私の長い説明が終わると、設計士が過去に手掛けたある施工例の写真をテーブルに広げた。思わず唸った。 その施工例は、HOPの家としては珍しい、妻が理想とする昭和初期の洋風住宅をモデルとした家であった。その場で設計を依頼した。 そして、森が建った。

深い色の無垢の木は、アンティーク調の家具や妻が製作したステンドガラスと見事に調和し、照明の灯りが漆喰の塗り壁に美しい陰影を映した。 心地よい空間の中で、豊かな時間が静かに流れていく。そんな贅沢な幸せを私は手に入れた。愛犬の二匹は、番犬としての素質がないようで、日がな一日中家の中でゴロゴロしている。どうも、HOPの家を一番気に入っているのは、愛犬のようである。

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